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EPISODE 39:デイジー人形

マリーは、はじめて日本を訪れた1972年頃から、積極的に活動の範囲を拡げていきました。今までタッチしたことのなかった様々なジャンルのデザインを手がけはじめたのです。

一人息子のオーランドが生まれた頃から「家の中にデザインをもちこみたい・・・」とはじめたシーツやカーテンはベッドのマットレスやヘッドボード(ベッドの頭板)、壁紙などのインテリア用品へと拡がり、次第に眼鏡のフレームやサングラス、ベレー帽、ステーショナリー(文房具)、コーヒーカップなどのデザインへと発展していきました。もちろん、ファッションデザイナーとして、航空会社のユニフォームや彼女にとってははじめての男性用品・・・ネクタイをデザインしたのもこの頃です。

そしてついに、マリーブランドのワインさえ発売されました。

マリーのもとには、いろんな業界からデザインの注文が殺到しました。

中でもマリーをよろこばせたのは、モデル・トーイズ社からの「マリーがデザインした人形を発売する」という提携話でした。マリーは人形をつくることに夢中になりました。完成した人形を見て夫のアレキサンダーが素晴らしい宣伝方法を思いつきました。

そして、いよいよマリーの人形を発表する日がやってきました。お披露目はハロゲイト・トーイ・フェア(玩具の見本市)と決まりました。この見本市でのアレキサンダーの演出は「みごと」の一言に尽きました。

発表にあたって、彼らはスーパー・セクシー・モデルを動員。人形と同じ服をとびっきりセクシーなモデルたちに着せてファッションショーをしたのです。バイヤーたちの目は釘付けになりました。競いあうようにその人形を仕入れたことは言うまでもありません。

デイジー人形と名付けられた彼女の人形は、その見本市のヒット商品になりました。

この一部始終を見ていたあるアメリカのアナリストは言いました。「商品の性格やイメージ、背景を完璧に構成して、ひとくくりにして見せることができるのはマリーたちだけ。」だと。

そんなマリーたちに、ケンジントン・パレスの監督であるジョン・ヘイズから一通の手紙が届きました。

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