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EPISODE 34:いよいよ日本へ

日本でもマリーのコスメは大評判でした。

それまで、日本にはなかった色調のコスメなど品切れが続出したほどです。化粧品をアクセサリーのひとつとしてとらえるマリーのコスメの特徴が、若い人たちに受け入れられたのです。

中でも頻繁にショップを訪れたのはファッション関係の仕事をしている人たちでした。そんな日本からのデータや新たなオーダーが届くたびに、マリーはどうしても日本という国へ行ってみたくなりました。

ようやく夢がかなったのは1972年のこと。

新しく日本で発売することになったスキンケアの発表のために、「ぜひに・・・」というリクエストが、マリーの手許に届いたのです。マリーはためらうことなく「イエス」と答えました。日本へは、夫であるアレキサンダーや一人息子のオーランド、そして、去年も日本を訪れたスーを同行することにしました。

そんなある日、マリーの手許に日本滞在中のスケジュールが届きました。マリーはそのスケジュールを見てビックリ。そこには、東京・大阪でのレセプションやマスコミの取材など、分刻みのまるで大スター並みの予定が書き込まれていたからです。しかも、イギリス領事館のマイケルナイトまで同席してくれるらしいのです。

そもそもマリーは人前に出ることが大の苦手。そこへもってきて、まるで集中砲火のごとく、質問が飛んでくることを考えると、身がすくむ思いでした。

そんなマリーをアレキサンダーやスーは笑い飛ばしました。マリーにはそれだけの価値があることを、彼らは充分承知していたからです。そして、舞台は日本へ・・・。

羽田空港に降り立ったマリーは、ちょっと肩に力が入っていました。でも、出迎えにきてくれた人たちから、今回のマリーの訪日がどんなに待ち遠しかったか(特に、日本でマリーのコスメを販売しているスタッフたち・・・マリーの感性に共感し、マリーのデザインするファッションやコスメが大好きな女性たちがどんなに待ちこがれていたか)を聞かされたとき、緊張感がたちまちほぐれていくのを感じました。

「来て良かった。」マリーは心からそう思いました。

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